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ドライアイとは |
ドライアイの改善法 ○ドライアイは様々な要因により涙の膜が不安定になり、疲れる・乾く・ごごごろ・痛み・灼熱感などの様々なつらい症状が自覚されるものです。慢性の疾患です。 ○大阪スタディではオフィスワーカー561人中368人、65%の人がドライアイ確定または疑いであったという疫学調査があります。 ○加齢に伴い、涙の量が減る傾向にあり、またまぶたの中の油を作るマイボーム腺も詰まりやすくなり、ドライアイになりやすくなります。またホルモンバランスやストレス、環境因子などその要因は複合的で、多岐にわたります。 ○3コン、つまりエアコン・パソコン・コンタクトが昔から悪化要因(現在ではスマホもあるでしょう)とされています。 ○エアコンの風が直接当たると目が乾燥しやすくなります。冬場はさらに空気が乾燥しやすくなるため、エアコンの風が直接当たらないようにする、加湿器で部屋の湿度を保つ、保湿眼鏡もよいでしょう。 ○パソコンやスマートフォンに集中するとまばたきが減ります。まばたきによって涙の膜が黒目に供給されますので、乾燥しやすくなります。またまばたきをしないで見ていると収差(像のぼけ)が増え、実用視力も落ち(まばたきしないでいると徐々に見づらくなる)ます。すると、ピントを合わせようとピントを合わせる目の中の筋肉(毛様体筋)にもストレスがかかり目が疲れやすくなります。そこでパソコンに「まばたき」と書いたポストイットを貼るなどして意識的にまばたきするようにすすめる論文もあります。パソコンのディスプレイは可能ならば目の位置より少し下にすると、目を開く面積が減り涙が蒸発しづらくなります。 ○まばたきが浅くて不完全な人は意外と多く、まばたきトレーニング(まゆげの外側を斜め上に指でつり上げ、いわゆる「キツネの目」をつくり、じわっとゆっくり目を閉じるトレーニングを適度に行う)によりまばたきの質が改善されます。 ○コンタクトレンズをはめると涙の膜が薄くなるため乾きやすくなりますのでドライアイ用の点眼(たとえばソフトサンティア・ヒアルロン酸PF・ジグアス・ムコスタなど、防腐剤フリーのもの)をあまり頻回ではなく点眼するとよいです。ヒアルロン酸点眼をコンタクトの上から指す場合は、防腐剤の入っていない製品を使います。いずれの目薬もあまり頻回にさすと涙に含まれている有効な成分もいっしょに洗い流されてしまうからです。ちなみにジグアス点眼はヒアルロン酸点眼よりも正常人では涙を増やす効果があり、はじめは刺激感があるかもしれませんが、まず1ヶ月くらい使ってみることをおすすめします。ソフトサンティアは冷所保存、10日で交換します。ムコスタ点眼は鼻に回ると苦味を感じることがありますが、もともと胃薬の成分を目薬として開発したもので、粘膜の傷の修復作用、摩擦を減らす作用、結膜の胚細胞を増やしてムチンを増やす作用があります。どの目薬も手を洗ってからさしたらパチパチまばたきをせずに、すぐ目を軽く閉じ、目元を軽く指で押さえると成分が目にとどまり、鼻に抜けるのが防げます。コンタクトは自宅に帰ったらはずし眼鏡に換えるのがよいです。また向不安薬、抗ヒスタミン薬などの服用によりドライアイが悪化することもあります。 ○ドライアイは涙が少ないタイプと、蒸発亢進によるタイプ、2つが混合したタイプがありますので、涙が少ないタイプでは涙点プラグといってシリコン製のプラグを涙点(まぶたの目元に上と下にある小さい丸い穴・ここから鼻に涙がまばたきするたびに排出されています)にはめることで涙がたまりやすくなり症状の改善が見込めます。ただし、上か下だけですと効果は限定的なこともあり、症状の強い方は上下に入れることが勧められます。蒸発亢進型に多いのはマイボーム腺機能不全です。マイボーム腺はまぶたの中に埋まっている、涙の油分を作る組織で、まばたきするたびに油が上下のまぶたに20〜30個ある穴から涙の膜を覆い(車のワイパーで窓が拭かれるように)蒸発を防ぐ非常に重要な働きをしています。ドライアイの86%にマイボーム腺機能不全があるとの報告もあります。有田玲子先生が主催のライム研究会のHPにいかにマイボーム腺が大切か、詳しく改善法も紹介されていますのでご参照ください。ポイントはまぶたの温めと、睫毛の根元をアイシャンプーなどで洗うことです。炎症を伴っていれば抗生剤やステロイドの点眼を使うこともあります。ステロイド点眼により目の中の水の流れ出る部に物質(細胞外マトリックスなど)が徐々にたまってきて眼圧が症状なく上がる場合もあり、定期的な眼圧検査が必要です。 ○アレルギー性結膜炎で目がかゆい場合は温めは控えてください。温めるグッズとしては、ホットタオルの他、使い捨ての「めぐりズム」、レンジで温めて使う「あずきのチカラ」等があります。まぶたの温めは眼精疲労に有効で、調節力(ピントを合わせる力)を改善させたとの報告もあり、一押しです。ただしやけどをしないように40度位の適温で行ってください。またシャワーだけで済まさず、できれば湯船につかり体全体を温めるのもよいと思います。 ○女性の場合、アイメイクを睫毛より内側までされますと(取説にはそのように書いてあるのもあるようですが)、そこにちょうどマイボーム腺の油の出口の穴があるため、ドライアイになりやすくなるため眼科的にはおすすめしません。 ○腸内環境も意外かもしれませんが、ドライアイと関連すると慶應大のグループの先生などにより報告されています。ラクトフェリンはマウスの実験で風を当てるストレスに対し接種してない群より保護効果があったとしています。また乳酸菌だけでなく、納豆・味噌汁・食物線維もよいです。脂っこいものの取り過ぎに注意しましょう。マイボーム腺の油が固まって出にくくなりやすいと考えられるからです。一方、魚に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA/DHA)は、マイボーム腺炎など眼瞼炎によいとの報告もあります。ドライアイ用に開発されたサプリメントもありますので(例えばオプティエイドドライアイ わかもと製薬)ためしてみるのもよいかもしれません。 ○夜ふかしも当然よくありません。ちなみに睡眠前にスマートフォンやパソコンのブルーライトを浴びると、メラトニンの分泌が減り睡眠不足になりやすいこともいわれており近年の学生の寝不足の原因の一つともいわれています。 ○眼鏡が必要な方の場合、パソコン用にあっていないと毛様体筋が疲れてしまいます。適切な眼鏡装用もドライアイ改善には必要です。眼鏡屋さんで度を測る機械の通りに眼鏡を作ってしまうと近視の場合度が強すぎて疲れやすくなります。若い方ではピントアシスト機能の付加されたレンズがパソコンの多い方には疲れにくいと思います。40〜45歳を過ぎると誰でも近くが年々見づらくなる、いわゆる老視になりますので、遠近両用眼鏡、近用累進眼鏡、老眼鏡などその人にあった眼鏡装用が勧められます。老視の未矯正・低矯正(老眼を我慢して掛けないで近くを見ている、または古い老眼鏡で合わなくなってきている)も疲れの原因になります。 累進多焦点レンズを選ぶ際はフレームの高さがある程度大きいものがおすすめです。 |
● ドライアイの主な原因 ● |
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ドライアイの自己診断 |
次のチェックリストで、ドライアイの可能性が無いかチェックしてみてください。
@目が疲れやすい Aめやにがでる B目がごろごろする C重たい感じがする D目が乾いた感じがする E何となく目に不快感がある F目が痛い G涙が出る Hものがかすんで見える I目がかゆい J光をみるとまぶしい K目が赤い
上記の項目のうち、5項目以上が該当するようなら、ドライアイの可能性があります。 また、「10秒以上眼を開いていられない」、「瞬きの数が多い(1分間に40回以上)」場合も同様です。 |
ドライアイの治療 |
人口涙液、ドライアイ治療用の点眼 |
ヒアルロン酸点眼や防腐剤の入っていないソフトサンティアの点眼は以前から良く用いられてきました。近年ジグアス点眼やムコスタUD点眼という比較的新しい目薬も登場し、ドライアイ患者さんにとっては治療の選択肢が広がっています。ジグアス点眼もムコスタ点眼もドライアイの点眼ですが、作用が異なります。ジグアス点眼は涙の水分をどっと増やす作用があります。この点ではヒアルロン酸点眼より優れています。ムコスタ点眼はムコスタという胃薬を目薬用に開発されたもので、結膜杯細胞からのムチンの分泌を増やします。角膜表面は本来疎水性ですが、ムチンは疎水性の角膜を親水性にする「とりもち」のような作用があり、涙が表面に留まりやすくなり、傷の修復作用や摩擦軽減作用もあわせもっているため、ドライアイの諸症状を改善します。京都府立大の木下教授によると、ジグアス・ムコスタいずれの点眼も点眼開始後52週までドライアイの症状が徐々に改善されたと報告されています。ジグアス点眼は少し刺激があり、涙の水分とともに涙を角膜にとどめるムチンも増やすため少しめやにっぽくなることがありますが、まずは1ヶ月点眼することで効果が実感されやすくなります。ムコスタ点眼は点眼後苦みを感じることもありますが通常心配はありません。点眼後涙嚢部(眼もと)を軽く圧迫しさらに軽く目をつむることでそのような副作用が軽減されます。日本は欧米と比べてドライアイの患者さんに処方できる点眼の種類が豊富です。
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生活環境の改善 |
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パソコンやコンピューターゲームをしている時には瞬きの数が通常の1/4に減り、乾きやすくなるため、意識的に瞬きをしましょう。 リラックスを心掛け、目が疲れたら休ませましょう。 |
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テレビやパソコンのモニターが高い位置にあると、目が大きく開かれ、乾燥しやすくなるので、目線よりも下に。 |
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机や直射日光を避けて、ワープロなどの画面は照射が反射しない場所に置きましょう。 |
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乾燥しやすい冬場などは、加湿器やぬれタオルを干すなどして保湿に注意しましょう。 エアコンの風が直接眼に当たらないようにする。
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ドライアイめがね(モイスチャーエイド・ドライカットオアシスなど)の使用 |
モイスチャーエイドは、お持ちの眼鏡の周りにフードをかぶせ、中にあるスポンジに注水し、目の回りを湿度を上げるものです(眼鏡により取り付けできないことがあります)。また、慶応大の坪田教授が推薦のJINS moistureもおすすめです https://www.jins.com/jp/jins-moisture/。 |
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ドライカットオアシスは、度なしの眼鏡で、水を注入して目の乾きを防ぐものです。 通常用と屋外用があります。また、度付きのレンズを入れることも可能です。 |
涙点プラグ |
涙点プラグは、重症のドライアイの人に適応があります。涙の出口(涙点)をプラグでふさぎ、涙を目の中に貯めることで乾きを防ぎます。外来で数分で挿入出来ます。 |
● 涙点プラグを挿入する ● |
上下どちらか又は両方の涙点に、涙点プラグを挿入する |
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☆涙点プラグの効果は? 涙の俳出口をふさいで排出量を減らすことで目の表面の乾燥が改善する
☆治療の時間は? 処置そのものは5分程度。外来で可能
☆費用は? 1998年より健康保険が適用されている。だいたい数千円程度 |
血清点眼 |
通常の点眼では改善しない、重症のドライアイの人に血清点眼を行うことがあります。 自分の血液を採血し、遠沈機で遠沈し、その血清を点眼します。 この治療は当院では現在行っておりません。 |
マイボーム腺機能不全に伴なうドライアイ |
目がくしゃくしゃする、乾く、重い、痛いなどの原因にマイボーム腺(まぶたの中の油を作る所)機能不全があります。 マイボーム腺という言葉ははあまり聞き慣れないかもしれませんが、まぶたの中にある涙の油成分を分泌する組織です。涙のうち、水分はまぶたの外側の上にある涙腺から分泌されていますが、油分はまぶたの中のマイボーム腺から分泌され、水分の上に薄い油膜を張り水分の蒸発を防いでいます。 ところが、加齢、まぶたのよごれ・炎症・細菌感染、脂っこい物が好き等食生活の乱れ、アイメークが目に近すぎたり完全に落とされていない、男性ホルモン優位など様々な原因によりマイボーム腺の中の油(meibum:マイバム) が固まってしまうと、油膜が張られずに目がくしゃくしゃする、乾く等様々な辛い症状をお越してきます。この状態をマイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction:MGD)と呼びます。MGDは日頃のちょっとしたまぶたの手入れで予防・治療できます。具体的には毎日1〜2回まぶたを温めて固まった油を溶かしてあげること。効果を実感するためには1日2回5分ずつでいいですから毎日根気よく続けることが大事です。効果は続けないとでません。続けていると目の不快感が和らぐでしょう。 40度で絞った蒸しタオルを目をつむってのせる事をおすすめしてきましたが、冷めやすいためきれいなビニールにくるんで冷めにくくする工夫がいります。最近一番良いと思っている方法は、薬局などで売られている目を温める「あずきのチカラ」(電子レンジで温めて再利用可能:500W40秒)か、「めぐリズム」(使い捨て、袋をあけるだけで簡単)の使用です。ドライアイの原因は最近の研究ではの86%がマイボーム腺機能不全によるとされていますので、これは非常に重要なことと考えています。MGGの詳細は有田玲子先生が代表を務める「LIME研究会」のホームページhttp://www.lime.jp/に、とても分かりやすく説明されていますので、是非ご覧下さい。 もうひとつ、まぶたを清潔に保つため、併用して行うと良いことは、まつげの根元を毎日洗うことです。「アイシャンプー」というまぶたを洗う専用の液を手を洗った後に少量とり、目をつむりまぶたの外側から内側に円を描くようにくるくるとまぶたをマッサージします。そして今度は睫毛の根元をヨコに洗います。最近話題となっているまつげダニ(demodex)も意外と顕微鏡で見ると多くの患者さんで発見されます。中には動いているのが見えることもあり、まつげダニは目のくしゃくしゃ感、まぶたの炎症を引き起こすこともあり、同様にまぶたの温罨法とまぶたを清潔に保つことがその対策となります。当院では顕微鏡検査で睫毛ダニ(デモデックス)がいるか簡単に検査できますので、希望の方はお申し出下さい。 この2つの方法は目の様々な不快感に非常に有効なことがありますので、是非試してみてください。 LIME研究会が作製した「マイボーム腺について」のパンフレットが非常にわかりやすく書いてありますので引用させていただきました(有田玲子先生・川島素子先生・高 静花先生・白川理香先生・鈴木 崇先生・福岡詩麻先生・溝口尚則先生作製)。 |
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